AI音楽Sunoがハッキング被害、コードに残っていた「YouTube楽曲201万件」
核心まとめ: AI音楽生成サービスSunoがハッキングされてソースコードが流出し、その中にYouTube Music 201万3,545曲をはじめ収集元ごとの記録が残っていたと404 Mediaが報じました。「公開されている音楽」という説明とは違い、収集元のラベル付きで行われた産業規模の収集であり、進行中のレーベル訴訟の核心の争点を直撃しています。
AI音楽生成サービスのSunoがハッキングされ、ソースコードが流出しました。そのコードの中に、どの音楽をどこからどれだけ集めたかが収集元ごとに記録されていたと、404 Mediaが7月15日に報じました。あわせて数十万人分の顧客情報や決済(Stripe)情報も流出したと伝えられています。なぜこの流出が単なるセキュリティ事故ではなく、AIと著作権をめぐる争い全体の分岐点として読まれているのか、クリエイターとして何を押さえるべきかまで整理しました。
コードに書かれていた数字
流出したコードは2023~2024年ごろのものとみられ、集めたデータが収集元ごとに時間単位まで整理されていました。報道によると、YouTube Musicだけで201万3,545曲、時間にして11万3,879時間分です。休みなく流し続けても13年分に相当します。
収集元ごとの記録
| 収集元 | 記録された量 |
|---|---|
| YouTube Music | 201万3,545曲 (11万3,879時間) |
| Pond5 (ストック音源) | 6万2,117時間 |
| IMSLP (クラシック楽譜) | 1万9,514時間 |
| Genius | 1万7,615時間 |
| Deezer (ストリーミング) | 1万2,287時間 |
| Jamendo、Freesoundなど | 数千時間 |
RSS経由でポッドキャストを収集した痕跡もありました。つまり歌だけでなく、人の声そのものが収集対象だったということです。
「公開されている音楽」という説明との距離
Sunoは学習データについて「ネット上に公開されている、一定品質の事実上すべての音楽ファイル」としか説明してきませんでした。しかしコードの中では、収集元ごとにラベルが付いていたわけです。「公開されている」と「使っていい」の間にある溝が、会社自身の内部記録で露わになった初めてに近い事例です。
訴訟の争点を直撃した流出
Sunoは2024年からソニーやユニバーサルなど大手レーベルと訴訟中です。レーベル側は訴訟の中で「YouTubeから楽曲を直接抜き出した(ストリームリッピング)」という主張を追加しており、404 Mediaは今回流出したデータがその主張を「裏付ける」と書いています。
この点が重要な理由があります。YouTubeから音源を抜き出す行為は、単に「著作権のある音楽で学習した」より一段重い問題として扱われます。プラットフォームの利用規約や技術的な保護を回避してデータを手に入れた方法そのものが問われるからです。一方でワーナーミュージックは争い続ける代わりにSunoとライセンス契約を結ぶ道を選んでおり、レーベルの間でも対応が分かれています。
判決が割れた地点: 「学習したか」ではなく「どう入手したか」
AI学習と著作権をめぐる米国の司法判断は、まだ一方向に定まっていません。昨年の2つの判決がその分かれ目をよく示しています。
同じ学習、違う結論
書籍データで学習したAI企業への訴訟で、ある裁判所(アンソロピック事件)は合法的に購入した本での学習自体はフェアユースと判断しました。ただし海賊版で集めた資料は別問題として残し、データの入手経路によって結論が変わりうることを示しました。同じ時期、別の裁判所(メタ事件)はフェアユースをより広く認めました。
だから争いの重心が移った
判決が割れたことで、争いの核心は「AIが学習したか」から「そのデータをどう手に入れたか」へ移りつつあります。学習自体が認められても、入手の過程に無断複製や回避行為があれば責任を問える、という構図です。今回の流出が暴いたのがまさにその「入手経路」である以上、進行中の訴訟への影響は小さくないとみられています。
クリエイターが今できること
今回の件がクリエイターに伝えることは明確です。YouTubeに上げたコンテンツは、すでにAI学習の材料として扱われているということ。自分の声、演奏、ポッドキャストがどの会社の学習リストに入っているかを確かめる方法は今のところなく、今回のようにハッキングでようやく表に出るのが現実です。
チャンネルで確認できる設定
YouTubeはチャンネル設定にサードパーティによるAI学習の許可の項目を設けており、初期設定は許可しないになっています。YouTube Studioのチャンネル設定で一度確認しておきましょう。ただしこの設定は「許可を求めてくる会社」にしか意味がありません。今回のような無断収集は設定と関係なく起きる、というのがこの事件の不都合な教訓です。
AI音楽を使う側なら
逆に、AI音楽を動画のBGMとして使う側にも示唆があります。学習データの出どころが整理されていないサービスの生成物は、判決次第で立場が揺らぐ可能性があります。収益がかかった動画なら、出どころとライセンスが明確な音源が依然として安全ですし、AI音楽を使う場合もどのサービスでいつ作ったかの記録を残しておくのがおすすめです。
よくある質問
Sunoが自分の音楽や声を学習したか確認できますか?
今のところ方法はありません。AI企業は学習データの一覧を公開しておらず、今回も規模が明らかになったのはハッキングで流出した内部記録を通じてでした。
AIが著作権のある音楽で学習するのは違法ですか?
司法判断はまだ割れています。ただ流れは「学習したか」より「データをどう入手したか」を問う方向に動いており、無断収集が確認されれば会社側の責任が重くなる構図です。
YouTubeに上げたコンテンツがAI学習に使われるのを防げますか?
YouTube Studioのチャンネル設定でサードパーティのAI学習を許可するかを選べ、初期設定は許可しないです。ただしこの設定は正式に許可を求める会社にしか効力がなく、無断収集までは防げません。
Sunoで作った音楽を動画のBGMに使っても大丈夫ですか?
規約上は有料プランで商用利用が認められています。ただ学習データをめぐる訴訟が進行中なので、収益がかかった動画ならライセンスが明確な音源と併用しつつ、状況を見守ることをおすすめします。
今回のハッキングで流出した顧客情報は何ですか?
報道によると、ソースコードとともに数十万人分の顧客の個人情報とStripe関連の決済情報が流出したと伝えられています。Sunoのアカウントがあるならパスワードを変更し、同じパスワードを使い回している他のサービスも変えておくと安全です。
出典: 404 Media
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